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・・・劉 庭秀 東北大学大学院 准教授
東北大学大学院劉庭秀(Yu Jeon-soo)准教授による
被災地のがれき処理研究レポート
東北大学大学院劉准教授が被災地がれき処理について検証。さらに共同研究プロジェクトメンバーである㈱青南商事とともに課題やその解決の糸口など、具体的な改善策を検討、実践していきます。
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復興のためにできること
震災から10ヶ月が経ち、新しい年を迎えて仙台市内は震災前の日常生活を取り戻しつつある。先月、本プロジェクトの第3回特別講義が行われ、石巻市を中心に地域住民、自治体、民間企業、赤十字病院、ボランティアの方々とのコミュニケーションを図ることができた。また、東北大学震災復興支援事業の一環として各被災自治体の震災廃棄物処理状況やその課題も見えてきた。 しかし、まちの中から消えつつあるがれき類の適正処理や資源化は想像以上の時間がかかっていることが事実である。責任の所在や役割を明確にすることだけではなく、関係者の複雑な利害関係、不正確な現状把握、被災者への配慮不足、曖昧な政策決定、財政支援の遅れ、情報不足と混乱等々、数え切れないほど多くの問題が山積している。 ところで、どうしてこれらの問題が解決できないのだろうか。震災や円高で苦しい状況にあるとしても経済大国であり、最先端の技術を持っている日本に、今必要なことはなんだろうか。4月から宮城県内の各自治体、被災現場、がれき置き場、がれき処理やリサイクル現場を回って感じたことは、未だに被災地には不安、不信、不平等、不足、不合理などの否定的な考え方が多かったことだ。少しでも前向きに考えて欲しいところだが、被災地から帰ってくる言葉は「そういうところではない」、「早く何とかして欲しい」、「確実なことは何もない」という後ろ向きの発言が多かった。震災から1年が経とうとしている今、「頑張ろう」、「絆をつくろう」、「前を向いて歩んでいこう」といったスローガンだけでは、被災地の皆さんを安心させ、復興のための明るい青写真を提示することはできない。 今回の特別講義の中では、石巻赤十字病院に訪問することができたが、この病院が地域住民に与えた安心感、信頼、勇気と挫けない気持ちは素晴らしいものだったと思う。今回の地震を遙かに超えた規模の地震がきても耐えられる免震構造の建物をはじめ、大地震に備えた体系的な防災マニュアル、そしてこのマニュアルを熟知した上、動揺せずに速やかに患者さんを受け入れて治療に専念して下さった病院のスタッフ、また、これらの活動を映像や文書として残した広報関係者の方々など、言葉では言い表せない感動を受けた。 今も各被災地では、集団移転問題、新しいまちづくりのあり方、産業振興と雇用などについて憶測と議論が絶えない。さらに、各支援団体、ボランティアグループ、研究機関などによるインタビュー、アンケート、現地調査が続いており、これらの活動に不信感を抱いたり、苛立ちを感じたりする住民も少なくない。 千年に一度と言われる大津波被害なので的確な判断は難しいかも知れないが、被災地の復興のために活動をするのであれば、明確な目的と目標を定めた上、相手に大きな安心と信頼を与えることが重要であろう。また、被災地の復興のために活動している様々な団体、行政機関、関連企業、研究機関の間において十分な情報交換やコミュニケーションが殆どとれていないことも問題である。復興事業は自治体、企業、特定団体や研究機関が競う場ではない。少しでも早く、少ない費用で、被災地の皆が本当に望んでいるものは何かを考える必要がある。お互いの目線を合わせていくことで、すぐ実行できることが見えてくるのではないだろうか。次の世代に何を残すべきか、これからの働き方、防災・環境・エネルギーに配慮したまちづくりなど中長期的な目標を考えた上、これらを現実化するために、まず何を求めて、どのような優先順位で実行していくべきかについて話し合っていく必要がある。復興のためにできることは小さな行動からではないかと考える。Dust my broom Projectがこれらの行動を少しずつ後押しするような存在になることを期待したい。
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東北大学大学院 准教授
1967年 韓国ソウル市生まれ。専門は、環境政策学、都市環境システム工学。韓国弘益(ホンイク)大学工学部都市工学科卒業後、1993年 来日。1997年 筑波大学大学院社会工学研究科(現、情報システム工学研究科)博士課程修了。民間の廃棄物リサイクル会社を経て、2000年から東北大学大学院国際文化研究科助教授、現在は同研究科国際環境システム論講座准教授、講座代表。その他、アジア自動車環境フォーラム副会長、全日本自動車リサイクル連合会 研究委員韓国ソウル市都市鉱山プロジェクト諮問委員、韓国自動車資源循環協会 技術委員などを務める。